■ インプラント治療をご存知ですか
インプラント治療とは、歯を失った部位の顎骨の中に人工歯根を埋め込み、人工歯を取りつける方法です。失った歯がよみがえったかのように、自分の歯と同じような機能を果たします。
■ インプラント治療の歴史
インプラント治療の起源は、インカ帝国時代(1400年代)までさかのぼることができます。ミイラの口の中に、長期間使用したと思われる、歯石が付着したエメラルドのインプラントが埋め込まれていたのです。
日本ではステンレス、ゴールド、セラミックなど錆びない材料を使ったインプラントが臨床応用されましたが、純チタンに骨と癒着する性質があることが発見されると、歯を失ってしまった方の治療の手段として注目されるようになりました。
欧米先進国では、失ってしまった歯を治療する際の手段としてまず最初にインプラント治療を選択します。それが不可能な方に、ブリッジや入れ歯で治療を行ないます。
■ ブリッジで健康な歯を削りたくない方
ブリッジを装着するには、両隣の歯を削らなくてはなりません。しかし、削られることで健康な歯の寿命が短くなってしまう恐れがあります。
インプラント治療は、両隣の歯を削らずに治療できるので、自分の歯に負担をかけることはありません。
■ 部分入れ歯が嫌な方
部分入れ歯を装着していると、安定感がなく噛みにくいことがあります。また、他の歯にクラスプ(留め金)をかけて支えるため、見た目も悪くなってしまいます。
インプラント治療の場合は、他の歯で支える必要なく、自分の歯と同じような噛み心地を得られます。
■ 4~8ヵ月に数回の通院が必要
インプラント埋入後、骨と癒着するまで、2~6ヶ月かかります。また、人工歯の作製に1~2ヶ月必要です。
通院は、4~8ヶ月に1回となります。症例によって多少増えることがありますが、通院の回数は数回で済みます。
■ インプラントの費用について
インプラントの治療費は以下の通りです。
そのほか、ソケットリフト(上顎洞底挙上術)やGBR(骨誘導再生手術)、CT撮影、薬代など別途費用がかかります。
インプラント治療は保険適用外となり、すべて自費診療となります。
インプラント治療以外の歯科診療については、保険診療で対応いたします。
※患者様の状況によって治療費は変動する可能性がございます。
■ 上顎前歯部
転んで歯が破折し、抜去しました(26歳・女性)。
■ 下顎臼歯部
奥歯2本を、虫歯により抜歯しました(53歳・男性)。
■ 上顎前歯部・4歯
自転車で転倒し、前歯4本を抜去しました(17歳・女性。)
欠損した部位が多く、ブリッジでは治療不可能な症例です。
■ 下顎奥歯・3歯
左下顎の奥歯を3本治療しました(43歳・女性)。
両隣の歯がなく、ブリッジでは治療不可能な症例です。
■ 無歯顎
入れ歯の安定の悪い、無歯顎の患者様にインプラントを応用しました。(60歳・男性)。
- インプラントは危険ではないのですか?
- 当院で使用しているインプラントの材料は「純チタン」です。これはインプラントだけでなく多くの医療機器の材料として使用されており、体内にも使用できる安全な材料です。現在まで、発がん性などの報告は一切ありません。
しかし、インプラントはすべての方が一生使用できるわけではありません。なかには除去しなければならない場合もあります。その原因の多くは「インプラント周囲炎」です。骨の化膿が広がらないうちに抜去すれば、危険なことはありません。
- インプラント治療はどれぐらい手間がかかりますか?
- 手術の必要がありますが、埋まっている親知らずを抜くほど手間はかかりません。埋入する本数により異なりますが、手術時間は1時間程度です。
それとは逆に、治療に時間がかかります。インプラント埋入後、骨と癒着するまで2~6ヶ月、人工歯の作製に1~2ヶ月必要です。症例によって多少増えることがありますが、通院は4~8ヶ月に1回となります。
- インプラントの寿命はどのくらいですか?
- インプラントの寿命は、健康状態、顎の骨の状態、噛み合わせの状態、口腔内の手入れの状態によって変わります。毎日きちんと手入れを行なって大切に使えば90%以上の方が10年以上使用できます。
手入れを怠ると、どんなに他の条件が良くても長期間使えません。良い状態で使用できるよう必ず定期検診を受けましょう。
- インプラントに不具合が生じた場合、どうするのですか?
- 残念ながらインプラントはすべての方が一生使用できるわけではありません。中には除去しなければならないこともあります。インプラントを除去した場合、ほとんどの方が再びインプラント治療を受けることを希望されます。
再治療は、インプラントを抜いた部位の骨の回復を待ってから行ないます。ただし、骨の吸収が進んでしまった場合には、インプラント再治療が不可能なことがあります。
毎日きちんと手入れを行ない、良い状態で使用できるよう必ず定期検診を受けましょう。
- 骨がやせているのですが、インプラント治療は可能ですか?
- インプラント治療は長さ10~15mm、太さ4mm前後のチタン製のネジ型のインプラントを
顎の骨の中に埋め込む治療法なので、そのインプラントを支えるだけの十分な骨が必要です。
骨が足りない場合は、骨を移植してインプラント治療に必要な骨を確保します。
- インプラント治療は誰でも受けられますか?
- 残念ながら現時点では誰もが受けられる治療法ではありません。年齢、健康状態、顎の骨の状態、噛み合わせの状態、口腔内の手入れの状態などにより、適さない方がいらっしゃいます。
次のような方は適していません。
年齢
健康状態
- 血糖値をうまくコントロールできない糖尿病の方
- 重度の高血圧症、心臓病、肝臓病、腎臓病の方
- 重度の血液疾患の方
- リウマチや皮膚病などでステロイドホルモンを使用している方
- 薬物や金属アレルギーなど、アレルギー体質の方
- 重度の骨粗しょう症の方
- 手術に適していない体調の方
- その他
顎の骨の状態
口腔内の状態
- 歯周病の方(歯周病治療後にインプラント治療を行ないます。)
- 噛み合わせの悪い方
- 手入れが悪い方
- 手入れができない方
その他
- インプラント治療に適さない理由を教えてください。
糖尿病、肝臓病、腎臓病など
歯周病
- 歯周病菌は感染するので、インプラントにも感染し、インプラント周囲炎を起こす
悪い噛み合わせ
- 一部の歯やインプラントだけに力がかかり、噛む力に耐えられない
口腔の手入れが悪い方
- インプラントは天然歯に比べて歯周病に対する抵抗力がないため、食べたらすぐにブラッシングするなど口腔衛生管理が必要